こんにちは。芸艸堂(うんそうどう)です。

12月6日(土)に虎屋 京都ギャラリーさんの2回目の京都清談に講師としてお招きいただきました。

11月には「京版画・芸艸堂の世界」として、1ケ月間弊社の版木・木版本を展示していただき、
2回目(最終回)には、熟練の摺師による実演と共にこの講演のためだけににつくられる虎屋さんの新しい和菓子
もお披露目される、一年を通じて企画していただいたギャラリー企画です。

正面


1回目の虎屋清談の講演後、和菓子を共作する図柄の打合せをし、芸艸堂からは神坂雪佳の木版画集「百々世草」から1図を制作する事になりました。

雪佳は明治期の工芸デザイナーであり、琳派を題材とした新しい図案を京都の工芸界に提案され、
芸艸堂は出版という形で雪佳の図案を紹介する役を担っていました。

今回制作した「百々世草」は雪佳の代表的な作品集です。当時から多くの図案家がこの本を参考にして、着物の柄や
陶器・漆器などに意匠されてきました。
来年は琳派400年という年を迎え、雪佳の図案を工芸だけではなく、和菓子の世界でも表現しようという話になり、
この図を再現いたしました。

ももよ草 のコピー


百々世草は明治42年~43年にかけて制作した全60図の木版画集です。
作品集ですが、最初から木版本として出版する事を前提に原画を制作されたもので、
筆さばきや配色を木版摺りで表現する事を考えて描かれています。

写真 左が雪佳の「原稿」 右が「木版画」
木版にする際に背景の色などが変更されています。当時、校正摺の段階で
雪佳さんとの話の中で仕上がりに変更が加えられたのでしょう。

虎屋会場①


今回摺り上げた菊の図の名は「ももよ草」であり、この本の題字にもなっています。
菊の背景には塗り分けられた金地と銀地で水の流れを表現された琳派の装飾美が表現されています。
この絵を再現するために用いた版木が6枚、一部裏表に彫りがされているので11版、
摺度数は12回摺り重ねて完成します。

虎屋会場②

講演①

木版画の制作工程をお話させていただいた後、虎屋菓子職人さんから菓子の説明をされました。

講演②

手に持たれている茶色の紙は、ももよ草の菊の花をイメージして型抜きした渋紙です。

羊羹展示

刷り込み羊羹「ももよ草」


それを羊羹の上に載せ木版摺をイメージし、色を載せた刷りこみ羊羹がこちら↑。

さらにもう一点、菊の花を型どった外郎も製菓されました↓。

外良製「ももよ草」

外郎の表面に淡いグラデーションがほどこされていますが、これができる職人は限られているそうです。

さらにさらにもう一点 江戸期の琳派 中村芳中光琳画譜」からもイメージした菓子まで作られました。

芳中1匹 のコピー

焼物製「仔犬」

版木をイメージした四角に型どった焼き菓子です。側面も木目の風合いがでるように絶妙の焼き加減で製菓
されています。仔犬の焼き印は和菓子には珍しい裏表に焼き印が入り、目の表情は1点づつ、職人さんが印を入れら
れました。 少しでも焼き時間を誤ると、黒く焦げたり、四角い形なので四隅が型に残って崩れてしまい、1回の焼きに
5個くらいしか焼けないそうです。

講演に来られた方々は皆さん手に取って裏も見ながらご賞味されていました。

私も講演後、頂戴し、大変おいしく、販売品にしてほしいと思ったのですが、完成までの話を聞くと量産するには
難しい事がよくわかる解説でした。( *今回の和菓子は全て非売品です
版画も菓子造りも完成品からはみえてこない職人さん達の手仕事で成り立っていますね。

休憩を挟んで、実際に版画が出来る工程をベテラン摺師 宮村氏を迎え焼き菓子の見本となった
中村芳中の狗子を摺っていただきました。
芳中もと3匹 JPEGのコピー


仔犬の顔や頬のボカシなど、たくさんの摺の技であっという間に仕上げていく様子も皆さん近くで観ながら驚かれて
いました。

実演②
実演①

今回の企画のおかげで多くの方に木版の世界にふれていただきました。虎屋さまには改めて御礼申し上げます。
ありがとうございました。