こんにちは。芸艸堂(うんそうどう)です。

5月27、28日と韓国に摺師さんと共に木版画の実演に行ってきました。

韓国古版画博物館
第7回原州・世界古版画文化祭 韓国文化財庁・いきいき文化財団事業

原州(ウォンジュ)の地域は韓紙(日本でいう和紙)の産地であり、その山の中腹に
会場である古版画博物館はあります。
その地で開催される特別展・国際学術大会・世界伝統版画デモンストレーションに招待されました。

原州 古版画博物館


中国、韓国、台湾、ベトナムからも研究者・摺師が来られ学術大会の傍らで各国ブースで木版摺の
実演を行いました。
現地について実演場所が外に設置してあり、風の吹く中、紙の乾燥にも気を使い各国の摺師は紙を
抑えながらの実演は苦労されていましたが、小学生400人・軍隊・研究者たちと見学に来られ、小学生
からは摺師さんにサインを求める行列ができました。

実演全景
日本 摺師
日本 摺師②

古版画博物館が所蔵されている歌麿の美人画の版木を用いて実演摺です。
他国はほぼ単色摺なのですが、日本は10回以上の摺を版ズレする事なく摺り上げていく工程に
一枚づつ、色が重ね摺される度に感嘆がおこりました。

韓国摺師
こちらは韓国の摺師さん。
芸術文化名人保持者です。バレンは自家製ですが、元々のバレンは髪を結わえ蜜蝋で固めたバレン
だったそうです。↓
韓国ばれん


中国摺師
中国の摺師さん。大判の版木を見当なしで重ね摺り。馬の毛で出来たバレンは大判用に縦長の形をしています。
中国馬連


台湾 摺師
台湾の摺師さんは同じ形状の馬連で摺られていました。 どの国も仏教の伝来とともに印刷技術として伝わっているので、仏画やお札を単色で摺られる事が多いのです。

ベトナム摺師
ベトナムの摺師さんは紙を台に置きスタンプのように版木を上から載せた後、紙をひっくり返してヘチマの繊維でできたバレンで摺り上げておられました。
同じ木版画でも、摺方、道具の違いに、各国の摺師も合間に見学しあいました。

2日目の朝は実演前に韓紙(ハンジ)の製造現場へ見学です。
韓紙風景
韓紙風景①
韓紙風景②
韓紙漉き風景 日本式
紙漉きの技法は日本式の桁を用いて漉かれています。
韓紙漉き風景 韓国式
韓国式の桁写真です。桁の向きが縦になり、支えが1か所しかありません。
それにより縦・横の動きが大きく取れ、紙の目を縦・横と2重に漉く事によりより強度が増すそうです。
でも腰を痛めそう…

学術大会が終わると博物館所蔵品を公開し、研究者の方々は遅くまで議論を交わされていました。
アジアを中心にまだまだ知られざる木版画資料に触れる事ができた2日間でした。


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