こんにちは、芸艸堂(うんそうどう)です。

数々の名馬と共に、日本競馬界を牽引してきた武豊騎手。
そのデビュー30周年を記念して、キズナという名馬と、
江戸時代よりおよそ400年以上にわたり伝統技術を継承する
職人たちとのコラボレーションが実現しました。
芸艸堂はその木版制作を担当させていただきます。

浮世絵木版画
武豊デビュー30周年記念
 武豊×キズナ 東京優駿絵巻
 
構図は2013年5月26日に開催された日本ダービーをイメージし、
約14万人の声援が聞こえるかのように躍動感あふれる構図とし、
京都の絵師深谷冬奇氏が背景含め全体を仕上げました。
絵師

木版画制作は絵師が原稿を描き、それを元に彫師が色ごとに版を彫わけ、
摺師がその版を使い原画の色使いを忠実に再現する昔ながらの分業制作です。

ラフ案を何度も校正し、構図を決めていきます。
ラフ案初校 のコピー

ラフ案再校 のコピー
武豊 顔 のコピー

完全原稿が上がる前に輪郭となる墨線のみを先に絵師に仕上げてもらい、
図引き紙(ずびきし)にプリント。それを版木に貼り付け、彫刻の開始です。
武豊原稿 のコピー
↑完成原稿
↓彫刻用線画原稿
冬奇原稿 のコピー
いかに無駄のない彫枚数で原画と同様の色表現ができるかは彫師の長年の経験
によります。彫は名人 松田氏が手がけました。
彫①
彫②
彫③
彫④
1ミリにも満たない幅で髪の流れるような線画や顔の輪郭を彫っていきます。
繊細な作業に耐えられる基礎となる輪郭線(骨)彫の板は今では貴重な堅く反りの
少ない桜の一枚板を使用して彫られました。彫⑤

色ごとに彫り分けた版木は11枚 裏表を使い21版+輪郭線(骨)板を合わせ
22版になりました。
完成した版木を用い、摺師が原画の色に忠実に摺っていきます。
細かい部分や背景の一文字(グラデーション)を再現するために摺師は何度も版を
使い分け摺重ねていきます。
そのような過酷な使用にも摺り耐え、紙の伸縮によるズレもでない強さがある
紙は越前生漉奉書紙を使用しています。
生漉奉書紙
この和紙は手漉き和紙古来の技法を受け継ぎ、木材パルプなどを使用しない
100%楮だけを使用した山口和夫氏によるものです。

その和紙に摺るのは京都 市村一房堂の古川氏
摺途中

原画を見ながら絵の具を調合し、薄い色から順に重ね摺していきます。
版木に絵の具を載せ、摺る際に和紙を水に湿らせるので、どうしても版木・和紙
ともに反り・縮みが出てきます。そのため最初の色調整では版ずれが生じます。
摺途中色ずれ
摺師はそれを一版ずつ調整しながら色がずれないように和紙を引っ掛ける版木に
彫られた見当の位置をずらしながら摺り上げていきます。
部分①
部分②

22版の版木を用い45回摺重ね完成した版画がこちらです。
東京優駿絵巻_初校-落款 のコピー

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絵寸:縦24cm×横37cm
紙寸:縦27cm×横40cm
用紙:越前生漉奉書紙(山口和夫)
絵師:冬奇
彫師:松田俊蔵
摺師:市村一房堂
芸艸堂版 22版45度摺



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