芸艸堂 店主の日記

明治24年京都にて創業、 現在日本で唯一の 手摺木版和装本の 出版社「芸艸堂(うんそうどう)」の 4代目当主が芸艸堂の木版にまつわる話、 旬の情報をお届けします。

製作工程・職人さん

明治24(1891)年、美術書出版社として京都で創業。現在、日本唯一の手摺木版本を刊行する出版社です。
その木版摺、製本技術を活用して、明治~昭和初期にかけて刊行した多色摺り図案集のモチーフを
アレンジし、顔料を使った美しい発色、柔らかな和紙の手触りが特徴の木版商品や、文具、インテリアなどを
制作しています。

バックストリートボーイズが木版画になって登場「裏街路五人衆」

こんにちは、芸艸堂(うんそうどう)です。

結成25周年、6年ぶりの来日公演が控えるバックストリートボーイズが
浮世絵木版画になって登場します。

江戸時代よりおよそ400年以上にわたり伝統技術を継承する
職人たちとのコラボレーションが実現しました。
芸艸堂はその木版制作を担当させていただきます。

浮世絵木版画 BACKSTREET BOYS 裏街路五人衆 

構図は歌川国貞(三代豊国)「御あつらへ三色弁慶」を参考に
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京都の絵師深谷冬奇氏に依頼。
絵師

木版画制作は絵師が原稿を描き、それを元に彫師が色ごとに版を彫わけ、
摺師がその版を使い原画の色使いを忠実に再現する昔ながらの分業制作です。

ラフ案を何度も校正し、構図を決めていきます。
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完全原稿が上がる前に輪郭となる墨線のみを先に絵師に仕上げてもらい、
図引き紙(ずびきし)にプリント。それを版木に貼り付け、彫刻の開始です。
WEB用BSB原画
↑完成原稿

いかに無駄のない彫枚数で原画と同様の色表現ができるかは彫師の長年の経験
によります。彫は名人 北村氏が手がけました。
北村 彫り
版木④
版木③
版木②
版木①

色ごとに彫り分けた版木は裏表を使い12版になりました。
完成した版木を用い、摺師が原画の色に忠実に摺っていきます。
着物や顔・目などの細かい部分を再現するために摺師は何度も版を
使い分け摺重ねていきます。
そのような過酷な使用にも摺り耐え、紙の伸縮によるズレもでない強さがある
紙は越前生漉奉書紙を使用しています。

生漉奉書紙
この和紙は手漉き和紙古来の技法を受け継ぎ、木材パルプなどを使用しない
100%楮だけを使用した山口和夫氏によるものです。

その和紙に摺るのは佐藤木版工房の中山氏
摺 実演③

原画を見ながら絵の具を調合し、薄い色から順に重ね摺していきます。
中山 摺①
中山 摺②
中山 摺⑤

1ミリにもみたない瞳部分の版を使い寸分のズレなく摺り上げていきます。
ブルーの瞳の版木
顔 部分

12版の版木を用い40回摺重ね完成した版画がこちらです。
裏街道五人衆
BSB額装 のコピー
額装
販売サイトはこちらの ファンサイトから 
[商品詳細]
・「浮世絵木版画 Backstreet Boys 裏街路五人衆」メンバー直筆サイン入り:99,000円(税込)
・「浮世絵木版画 Backstreet Boys 裏街路五人衆」サインなし:66,000円(税込)
※全世界限定200枚
絵寸:縦27cm×横57cm
紙寸:縦30cm×横60cm
用紙:越前生漉奉書紙(山口和夫)
絵師:冬奇
彫師:北村昇一
摺師:中山誠人
芸艸堂版 12版40度摺

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ウォルト・ディズニー・アーカイブス展にて浮世絵木版画「魔法使いの弟子」が販売されます。

こんにちは、芸艸堂(うんそうどう)です。

D23 Expo Japanを記念した先行品として
浮世絵木版画「魔法使いの弟子」の制作を承りました。

その木版画が ウォルト・ディズニー・アーカイブス展で展示・販売が決まりました。
ウォルト・ディズニー・アーカイブス展 
8月1日~8月20日 銀座松屋   他全国5ケ所
主催: ウォルト・ディズニー・アーカイブス展 大阪会場実行委員会
協力: ウォルト・ディズニー・ジャパン

ウォルト・ディズニーとウォルト・ディズニー・カンパニーに関する史料を
収集・保存する米国「ウォルト・ディズニー・アーカイブス」。
そこは、ディズニーの才能豊かな人々のイマジネーションによって生み出さ
れた数々の作品に関する貴重な資料と、その作品に込められた情熱や
エピソードが集まる、夢と創造の宝庫です。
しかし、一般公開されていないその場所は、誰もが簡単に入れる空間ではありません。
本展覧会は、まるでアーカイブスの中に入ったかのような体験をお届けすべく
企画された、日本初の試みです。

木版制作にあたり、いただいた構想を基に原画制作を京都の絵師 深谷冬奇
が背景含め全体を仕上げました。
絵画と違い、彩色にも色ごとに版木を彫りわけ、摺を重ね色を表現する
木版技法の事を考えながら彩色していただきました。

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 星の河を三色程の色使いでグラデーションを表現しています。

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 完成した原画

原画から墨線を彫師がトレスし、図引き紙(ずびきし)にプリント。
それを版木に貼り付け、彫刻の開始です。

大小様々な彫刻刀を使い分け、いかに無駄のない彫枚数で原画と同様の色表現
ができるかは彫師の長年の経験によります。彫は名人 渡辺氏が手がけました。

彫道具

骨板
輪郭となる骨板。
その骨線彫に合わせて色板を彫分けていきます。

星の河 版木
 星の河を再現するために色ごとに彫り分けていきます。

色ごとに彫り分けた版木は9枚 裏表を彫り、版数は17版です。
(骨板(輪郭線)のみ片面彫のため)
完成した版木を用い、摺師が原画の色に忠実に摺っていきます。
細かい部分や星の河のグラデーションを再現するために摺師は何度も版を
使い分け摺り重ねていきます。
そのような過酷な使用にも耐え、紙の伸縮によるズレもでない強さが
ある紙は越前生漉奉書紙を使用しています。

生漉奉書紙
この和紙は手漉き和紙古来の技法を受け継ぎ、木材パルプなどを
使用しない100%楮だけを使用した山口和夫氏によるものです。

その和紙に摺るのは吉田氏
摺り ブラシで絵の具を載せる
摺り道具①
 絵の具を板に載せる刷毛やブラシも大小さまざまな種類を使い分けます。
摺り 馬連で摺る
摺り上がり 様子を見る

原画を見ながら絵の具を調合し、薄い色から順に重ね摺りしていきます。
摺り道具②絵の具

グラデーションの部分はどのようにして摺られていると思いますか?
版木に絵の具をグラデーション状に載せ摺っているのです。
どの版画も均等に摺る事ができるのは熟練の技術が必要です。
帽子部分ボカシの板
摺り帽子ボカシ


背景ボカシ板
星の河のグラデーション部分の版木 当て無しボカシといい、技術が必要な摺り技です。
背景ボカシ板(没)
当初彫られたグラデーション用の版木、河の部分が彫られているのですが、和紙
に彫った部分の線が出てしまい上記の版木に彫直しされました。

17版の版木を用いグラデーションなどに何度も摺り重ね、その摺り度数は40回に
及びました。完成した版画がこちらです。
再校正 のコピー

紙寸:縦40cm×横27.5cm
絵寸:縦37.5cm×横24cm
和紙:越前生漉奉書紙 山口和夫
絵師:冬奇
彫師:渡辺和夫 
摺師:吉田秀男 
17版40度摺
発売:株式会社 ニュートラルコーポレーション
制作:美術書出版株式会社芸艸堂 
認定書付
魔法使いの弟子裏面シール_ntrl_0227_ol

 
ぜひ会場にてご覧になって下さいませ。


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浮世絵木版画 hide 桜の景

こんにちは、芸艸堂(うんそうどう)です。

ぴあ×浮世絵プロジェクト初の邦楽男性アーティストとコラボレーションが実現!
いつまでもファンの心に在り続けるhideをモデルとし、その浮世絵を制作する事で、
日本の伝統工芸の素晴らしさをファンの皆様だけでなく世界中に伝えていきたいと
いう想いから実現しました。
100年先まで存在し続ける芸術作品とするため、浮世絵業界最高の職人達がここに結集しました。

今回のプロジェクトは、三越伊勢丹グループの
「日本の美・技・伝統が宿ったものづくりを見つめ直し、世界に誇る感性として
再発進するプロジェクト「JAPAN SENSES」(3月28日~4月10日)」の題材
として「浮世絵木版画hide桜の景」が選ばれ、伊勢丹新宿店、銀座三越、
日本橋三越本店の基幹三店舗で、その勇姿をご覧頂ける事となりました。

芸艸堂はその制作を担当させていただきました。

浮世絵木版画 hide 桜の景
© HEADWAX ORGANIZATION CO.,LTD.photo by HIDEO CANNO(CAPS)

■浮世絵の制作工程
◆下絵作成
hide桜の景制作構想が決定した後、自身もhideのファンであり、原画制作を
現在ではほとんど居られなくなった京の町絵師として活躍中の深谷冬奇氏に依頼。

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原画制作にあたり、町絵師冬奇氏は「パッと咲いてさっと散る。まさにrock
な浮世絵の原画依頼でした。彼の生きざまとその熱い想いを伝えられるような
浮世絵木版画にしようと、ギタ-を持つ背中には満開の桜、そして足元には
ハラハラと舞い散る花びらを構成しました。」とその制作に対する想いを語って
くれました。
全体ラフレイアウト
おおよその全体ラフを描きます。
HIDEラフ
桜の景表題
何度も描き直し、表情・題字を決めていきます。

細かい衣装の柄や小物の再現には版(彫る板)を考えながら、墨の線は筆の
抑揚のみで仕上げて一枚の中に人物と背景の統一感をもたせるようにしました。
画面半分より上側に重心を置き、逆三角形にした構図も見る者に面白さとポップ
さを与えるように描いた完成原稿がこちらです。

hide のコピー

木版画制作は絵師が原稿を描き、それを元に彫師が色ごとに版を彫わけ、
摺師がその版を使い原画の色使いを忠実に再現する昔ながらの分業制作です。

◆彫り
完全原稿が上がる前に輪郭となる墨線のみを先に絵師に仕上げてもらい、
図引き紙(ずびきし)にプリント。それを版木に貼り付け、彫刻の開始です。

HIDE 彫師用原稿 のコピー
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彫刻刀
大小様々な彫刻刀を使い分けいかに無駄のない彫枚数で原画と同様の色表現が
できるかは彫師の長年の経験によります。

骨板 顔 のコピー
1ミリにも満たない幅で線画や顔の輪郭を彫っていきます。

顔の色板
目の部分を際立たせるため別の墨板を彫ります。
顔のシャドーもその部分のみ彫分けます。

弦・衣装バッジ色板
ギターの弦は縦・横 2版で表現・衣装の装飾品(バッジ)も
色ごとに彫わけしました。

桜の色板 のコピー
桜の花びらも1枚づつ浮彫されています。描かれた原画に忠実に色分した版木は
11枚。裏表を使い22版になりました。

彫り工程がここで完成しました。その完成した版木を用い、摺師が原画の色に
忠実に摺っていきます。
細かい部分や背景の一文字(グラデーション)を再現するために摺師は何度も版を
使い分け摺重ねていきます。

そのような過酷な使用にも摺り耐え、紙の伸縮によるズレもでない強さがある
紙は越前生漉奉書紙を使用しています。
岩野市兵衛 生漉奉書紙
この和紙は2000年に国指定重要無形文化財(人間国宝)に認定された手漉き和紙
古来の技法を受け継ぎ、木材パルプなどを使用しない100%楮だけを使用した
9代目岩野市兵衛氏によるものです。
岩野市兵衛 生漉奉書紙 Watermark
芸艸堂の特漉き和紙は芸マークのwatermarck(透かし)が入っています。
◆摺り
その和紙に摺るのは京都 佐藤木版画工房の中山氏
原画を見ながら絵の具を調合し、薄い色から順に重ね摺していきます。
摺師 中山
背景の(一文字)グラデーション摺りは版木に絵の具をグラデーション状に載せ、
摺っていきます。
摺り上がり のコピー
ボカシ摺り② のコピー

版木や和紙は絵の具を載せると水分を含み、伸縮が起こります。それを摺師は
版木を1枚づつ摺りながら調整し、寸分違わず摺っていきます。
桜花びら摺り のコピー
見当修正前 のコピー
調整前の摺り。花びらと背景の色が重なっています。見当直し のコピー
紙を引っ掛ける「見当」の位置をずらし、調整します。見当修正 のコピー
色ズレ(見当違い)なく摺り上がった桜の花びらと背景。
同じ工程を繰り返し、衣装の細かい装飾物(バッジ)や
ギターの弦も寸分のズレなく摺り上げていただきました。
ボタン・バッジ のコピー

22版の版木を用い47回摺重ね完成した版画がこちらです。
hide 桜の景 木版画

現在 絶賛制作中です! 販売サイトはこちらのぴあ さんから

hide 桜の景
初版:限定200部
絵寸:縦37cm×横25cm
紙寸:縦40cm×横27cm
用紙:越前生漉奉書紙(人間国宝9代岩野市兵衛)
彫師:北村昇一
摺師:中山誠人
22版47度摺 ¥86,400(税込)
企画・販売:ぴあ株式会社
制作:芸艸堂


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北斎だるせん展 その②

こんにちは 芸艸堂(うんそうどう)です。

前回紹介した展覧会の関連展をお知らせします。

北斎だるせん 名古屋市博物館 
北斎だるせん 名古屋市博物館

こちらの展覧会を記念して、200年前にそのだるまが描かれた西掛所(本願寺名古屋別院)
にて120畳の紙に達磨大師を大書する大がかりな興業を再現されます。

完成した大だるま絵そのものは第二次世界大戦時に焼失したといわれていますが、
幸いなことに興業の一部始終が記録された資料が残っています。
それは尾張藩士の高力猿猴庵(こうりきえんこうあん 1756~1831)によって書き留められた
『北斎大画即書細図』(名古屋市博物館蔵)で、そこには興業当日のスケジュールや賑わいは
もちろん、この日のために用意された和紙や筆、絵の具にいたるまで事細かに情報が記されて
います。今回、その貴重な資料をもとに、可能な限り当時の製法で大だるま絵の復元に挑戦
されます。
北斎×西別院
本願寺名古屋別院 
11月19日(日)10:00~記念法要・法話
11月23日(木) 9:00~だるま絵復元プロジェクト *雨天時は25日、26日へ順次延期

北斎×西別院


今回の展覧会がご縁で本願寺名古屋別院様とも木版摺の事業に関わらせていただきました。

200年前のポスターを復活!

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「北斎大画即書引札」名古屋市博物館蔵
 
本文には「尾州名護屋本町通り門前町大地におゐて・・・」から始まり、だるま絵の
大きさを具体的に「目六尺 はな九尺 (中略)面テ三丈二尺・・・」と記されています。
現在の寸法で表すと「目が1.8m 鼻は2.7m 顔が9.7m」といったところでしょうか。
民衆の心を惹きつけたこの引札(ポスター)はとても重要な役割を担ったのです。
現在この引札(200年前のオリジナル)は名古屋市博物館に収蔵されています。

今回、特別に名古屋市博物館の許可を頂戴し、引札(オリジナル)を基に複製引札
を、職人の技により数量限定で摺らせていただきました。

北斎達磨彫①
彫師:北村氏が桜の一枚板を用い、原本に忠実に彫っていきます。北斎達磨彫②
北斎達磨③
①墨を乗せる のコピー
彫り上がった版木に摺師:森光氏が墨をのせ、1枚づつ丁寧に摺り上げていきます。⑥和紙を剥がす のコピー

⑦完成 のコピー
完成!
余白に限定番号を記し、納めることができました。
また、記念品として注染の手拭も2柄制作させていただきました。

てぬぐい青のコピー てぬぐい赤のコピー

本願寺名古屋別院門前では 
メーテレコレクション 北斎展 ギャラリーかんしょ(西別院正門すぐ)にて
名古屋テレビ所蔵の北斎を展示、芸艸堂関連書籍、版画、グッズを販売されます。

ギャラリーかんしょ北斎展

博物館とともにぜひ巡らて下さい。 


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笠松紫浪「日光華厳の瀧」再版

こんにちは 芸艸堂(うんそうどう)です。

海外での人気が高い新版画作家 笠松紫浪の木版画の再版が仕上がってきました。

芸艸堂が制作した笠松さんの木版画は昭和20年頃より版行をはじめ、100点近くの作品を発表。
当時摺られた版画(初摺り/ 余白に制作した年号が摺りこまれています。)は
海外などで高値で売買されています。
日本各地を題材とした作品は近年日本でも再評価されています。

今回再版した版画は 「日光華厳の瀧」

日光華厳の瀧のコピー

手前の岩と奥の瀧では陰影があり奥行が表現されています。
通常濃い色の墨線と薄墨の線があると版木を彫分けるのですが この版木は
輪郭となる墨線を1版で制作しています。
摺師はその一枚の版木を用い墨の濃淡で輪郭を摺、なおかつ奥行きも表現した
摺をしています。 これは浮世絵の美人画などで使われる彫・摺の技法です。

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他にも和紙の地色に水色のぼかし、岩肌のグラデーションで滝壺に落ちる水しぶき
による霞を表現しています。
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浮世絵摺から続く最小限のコストで効果的な彩色を表現をする技術が新版画にも
継承されています。

手に取られて木版摺の隠れた彫・摺りのテクニックもご覧いただけたら幸いです。


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ギャラリー
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  • 「円山応挙から近代京都画壇へ」が京都国立近代美術館で始まります。
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