こんにちは、芸艸堂(うんそうどう)です。
初音ミクが木版画になって登場します。
芸艸堂はその制作を担当させていただきます。
*2017年5月23日追記
5/5に開催された「第1回アニものづくりアワード」にて、クラフトデザイン部門金賞を
受賞いたしました!ありがとうございました!
ホビーストック浮世絵木版画シリーズ
浮世絵木版画 初音ミク 歌姫東海道初音未来
©Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

原画は京都の絵師 冬奇氏に依頼

木版画制作は絵師が原稿を描き、それを元に彫師が色ごとに版を彫わけ、
摺師がその版を使い原画の色使いを忠実に再現する昔ながらの分業制作です。
その構図の構想をホビーストック企画担当者からお伺いし、原画制作を現在では
ほとんど居られなくなった京の町絵師として活躍中の深谷冬奇氏に依頼。
ホビーストック企画担当者から届いた初音ミクの原稿に着物の柄を彩色し、
背景を描き込んでいきます。


何度かの校正を経て、背景に他のキャラクターも描き込む事になり加筆してもらいました。


完成原稿がこちらです
完全原稿が上がる前に輪郭となる墨線のみを先に絵師に仕上げてもらい、
図引き紙(ずびきし)にプリント。それを版木に貼り付け、彫刻の開始です。




1ミリにも満たない幅で髪の流れるような線画や顔の輪郭を彫っていきます。
繊細な作業に耐えられる基礎となる輪郭線(骨)彫の板は今では貴重な堅く反りの
少ない桜の一枚板を使用して彫られました。
輪郭線の彫が出来たら、それを元に彫師が墨で試し摺(校合摺)を摺り上げます。


その線摺を元に色ごとに彫を開始します。
いかに無駄のない彫枚数で原画と同様の色表現ができるかは彫師の長年の経験
によります。彫は浮世絵彫の名人 渡辺氏が手がけました。

着物の柄部分

顔の鼻・ほっぺの線が原稿では顔・目の輪郭に比べ薄い色で描かれていたので、
別板に彫分けました。
色ごとに彫り分けた版木は10枚 裏表を使い20版+輪郭線(骨)板を
合わせ21版になりました。
完成した版木を用い、摺師が原画の色に忠実に摺っていきます。
細かい部分や背景の一文字(グラデーション)を再現するために摺師は何度も版を
使い分け摺重ねていきます。
そのような過酷な使用にも摺り耐え、紙の伸縮によるズレもでない強さがある
紙は越前生漉奉書紙を使用しています。

この和紙は2000年に国指定重要無形文化財(人間国宝)に認定された手漉き和紙
古来の技法を受け継ぎ、木材パルプなどを使用しない100%楮だけを使用した
9代目岩野市兵衛氏によるものです。

芸艸堂の特漉き和紙は芸マークのwatermarck(透かし)が入っています。
その和紙に摺るのは京都 佐藤木版画工房の中山氏

原画を見ながら絵の具を調合し、薄い色から順に重ね摺していきます。





顔の部分は輪郭とほっぺ・鼻の線・頬紅が別版に彫り分けられているので少しでも
ずれたり、絵の具がつきすぎると、原画のイメージが変わってしまうので難しい箇所です。

手・足先にもうっすらとピンクの表現が入っています。
「色を最後に手彩色したの?」と思われるかもしれませんが、こちらも全て摺っています。

専用に作った色板に絵の具をぼかして載せ摺り上げています。
浮世絵の摺り方の特徴として、和紙に絵の具が食い込むように摺り上げる事により、
線を美しく表現します(キメ摺といいます)。
そのため裏面までしっかり色がでてきます。

21版の版木を用い45回摺重ね完成した版画がこちらです。

現在 絶賛制作中です! 販売サイトはこちらのホビーストックさん・ぴあ さんから
絵寸:縦37cm×横24.5cm
紙寸:縦40cm×横27cm
用紙:越前生漉奉書紙(人間国宝9代岩野市兵衛)
彫師:渡辺和夫
摺師:中山誠人
芸艸堂版 21版45度摺

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初音ミクが木版画になって登場します。
芸艸堂はその制作を担当させていただきます。
*2017年5月23日追記
5/5に開催された「第1回アニものづくりアワード」にて、クラフトデザイン部門金賞を
受賞いたしました!ありがとうございました!
ホビーストック浮世絵木版画シリーズ
浮世絵木版画 初音ミク 歌姫東海道初音未来
©Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

原画は京都の絵師 冬奇氏に依頼

木版画制作は絵師が原稿を描き、それを元に彫師が色ごとに版を彫わけ、
摺師がその版を使い原画の色使いを忠実に再現する昔ながらの分業制作です。
その構図の構想をホビーストック企画担当者からお伺いし、原画制作を現在では
ほとんど居られなくなった京の町絵師として活躍中の深谷冬奇氏に依頼。
ホビーストック企画担当者から届いた初音ミクの原稿に着物の柄を彩色し、
背景を描き込んでいきます。


何度かの校正を経て、背景に他のキャラクターも描き込む事になり加筆してもらいました。


完成原稿がこちらです

完全原稿が上がる前に輪郭となる墨線のみを先に絵師に仕上げてもらい、
図引き紙(ずびきし)にプリント。それを版木に貼り付け、彫刻の開始です。




1ミリにも満たない幅で髪の流れるような線画や顔の輪郭を彫っていきます。
繊細な作業に耐えられる基礎となる輪郭線(骨)彫の板は今では貴重な堅く反りの
少ない桜の一枚板を使用して彫られました。
輪郭線の彫が出来たら、それを元に彫師が墨で試し摺(校合摺)を摺り上げます。


その線摺を元に色ごとに彫を開始します。
いかに無駄のない彫枚数で原画と同様の色表現ができるかは彫師の長年の経験
によります。彫は浮世絵彫の名人 渡辺氏が手がけました。

着物の柄部分

顔の鼻・ほっぺの線が原稿では顔・目の輪郭に比べ薄い色で描かれていたので、
別板に彫分けました。
色ごとに彫り分けた版木は10枚 裏表を使い20版+輪郭線(骨)板を
合わせ21版になりました。
完成した版木を用い、摺師が原画の色に忠実に摺っていきます。
細かい部分や背景の一文字(グラデーション)を再現するために摺師は何度も版を
使い分け摺重ねていきます。
そのような過酷な使用にも摺り耐え、紙の伸縮によるズレもでない強さがある
紙は越前生漉奉書紙を使用しています。

この和紙は2000年に国指定重要無形文化財(人間国宝)に認定された手漉き和紙
古来の技法を受け継ぎ、木材パルプなどを使用しない100%楮だけを使用した
9代目岩野市兵衛氏によるものです。

芸艸堂の特漉き和紙は芸マークのwatermarck(透かし)が入っています。
その和紙に摺るのは京都 佐藤木版画工房の中山氏

原画を見ながら絵の具を調合し、薄い色から順に重ね摺していきます。





顔の部分は輪郭とほっぺ・鼻の線・頬紅が別版に彫り分けられているので少しでも
ずれたり、絵の具がつきすぎると、原画のイメージが変わってしまうので難しい箇所です。

手・足先にもうっすらとピンクの表現が入っています。
「色を最後に手彩色したの?」と思われるかもしれませんが、こちらも全て摺っています。

専用に作った色板に絵の具をぼかして載せ摺り上げています。
浮世絵の摺り方の特徴として、和紙に絵の具が食い込むように摺り上げる事により、
線を美しく表現します(キメ摺といいます)。
そのため裏面までしっかり色がでてきます。

21版の版木を用い45回摺重ね完成した版画がこちらです。

現在 絶賛制作中です! 販売サイトはこちらのホビーストックさん・ぴあ さんから
絵寸:縦37cm×横24.5cm
紙寸:縦40cm×横27cm
用紙:越前生漉奉書紙(人間国宝9代岩野市兵衛)
彫師:渡辺和夫
摺師:中山誠人
芸艸堂版 21版45度摺

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