芸艸堂 店主の日記

明治24年京都にて創業、 現在日本で唯一の 手摺木版和装本の 出版社「芸艸堂(うんそうどう)」の 4代目当主が芸艸堂の木版にまつわる話、 旬の情報をお届けします。

2016/05

明治24(1891)年、美術書出版社として京都で創業。
現在、日本唯一の手摺木版本を刊行する出版社です。
その木版摺、製本技術を活用して、明治~昭和初期にかけて刊行した多色摺り図案集のモチーフを
アレンジし、顔料を使った美しい発色、柔らかな和紙の手触りが特徴の木版商品や、文具、インテリア
などを制作しています。

「世界古版画文化祭」 韓国 古版画博物館に参加しました

こんにちは。芸艸堂(うんそうどう)です。

5月27、28日と韓国に摺師さんと共に木版画の実演に行ってきました。

韓国古版画博物館
第7回原州・世界古版画文化祭 韓国文化財庁・いきいき文化財団事業

原州(ウォンジュ)の地域は韓紙(日本でいう和紙)の産地であり、その山の中腹に
会場である古版画博物館はあります。
その地で開催される特別展・国際学術大会・世界伝統版画デモンストレーションに招待されました。

原州 古版画博物館


中国、韓国、台湾、ベトナムからも研究者・摺師が来られ学術大会の傍らで各国ブースで木版摺の
実演を行いました。
現地について実演場所が外に設置してあり、風の吹く中、紙の乾燥にも気を使い各国の摺師は紙を
抑えながらの実演は苦労されていましたが、小学生400人・軍隊・研究者たちと見学に来られ、小学生
からは摺師さんにサインを求める行列ができました。

実演全景
日本 摺師
日本 摺師②

古版画博物館が所蔵されている歌麿の美人画の版木を用いて実演摺です。
他国はほぼ単色摺なのですが、日本は10回以上の摺を版ズレする事なく摺り上げていく工程に
一枚づつ、色が重ね摺される度に感嘆がおこりました。

韓国摺師
こちらは韓国の摺師さん。
芸術文化名人保持者です。バレンは自家製ですが、元々のバレンは髪を結わえ蜜蝋で固めたバレン
だったそうです。↓
韓国ばれん


中国摺師
中国の摺師さん。大判の版木を見当なしで重ね摺り。馬の毛で出来たバレンは大判用に縦長の形をしています。
中国馬連


台湾 摺師
台湾の摺師さんは同じ形状の馬連で摺られていました。 どの国も仏教の伝来とともに印刷技術として伝わっているので、仏画やお札を単色で摺られる事が多いのです。

ベトナム摺師
ベトナムの摺師さんは紙を台に置きスタンプのように版木を上から載せた後、紙をひっくり返してヘチマの繊維でできたバレンで摺り上げておられました。
同じ木版画でも、摺方、道具の違いに、各国の摺師も合間に見学しあいました。

2日目の朝は実演前に韓紙(ハンジ)の製造現場へ見学です。
韓紙風景
韓紙風景①
韓紙風景②
韓紙漉き風景 日本式
紙漉きの技法は日本式の桁を用いて漉かれています。
韓紙漉き風景 韓国式
韓国式の桁写真です。桁の向きが縦になり、支えが1か所しかありません。
それにより縦・横の動きが大きく取れ、紙の目を縦・横と2重に漉く事によりより強度が増すそうです。
でも腰を痛めそう…

学術大会が終わると博物館所蔵品を公開し、研究者の方々は遅くまで議論を交わされていました。
アジアを中心にまだまだ知られざる木版画資料に触れる事ができた2日間でした。


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東京TDC賞2016に 「琳派400年」ポスターが特別賞を受賞しました。

こんにちは。芸艸堂(うんそうどう)です。

「東京TDC賞 2016」の成果を披露する「TDC 2016」が6月3日からギンザ・グラフィック・ギャラリーにて
開催されます。国内外より寄せられた応募作品数は2,800点(国内1,703点、海外1,097点)。
厳正な審査の結果、お世話になっっているグラフィックデザイナーの葛西薫氏が手がけた
「琳派400年」ポスターが 特別賞を受賞されました。
TOKYO TDC
TDC 2016 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
2016年6月3日(金) ー 6月27日(月)

『東京TDC賞は、タイポグラフィを中心にしたグラフィックデザインの国際コンペティションです。
視覚表現ならではの実験と実践の先端、約150点を展示されます。

TDC2016_poster[1]


芸艸堂は特別賞を受賞された葛西薫氏の作品原稿を木版画にて作成させていただきました。
彫師:馬場紗絵子 / 摺師:板倉秀継

02_Kaoru-Kasai-440x156[1]

葛西薫 Kaoru Kasai
1949年札幌生まれ。(株)サン・アド アートディレクター。長期にわたるサントリーウーロン茶、
ユナイテッドアローズの広告制作、虎屋の店舗やパッケージのアートディレクションなど代表作多数。

東京TDC賞2016の受賞者とゲストのレクチャーと対話で構成する6時間フォーラム「TDCDAY」
に葛西氏と芸艸堂が参加いたします。ぜひ、ご来場下さいませ。

<参加者受付中です!>
デザインフォーラム「TDC DAY 2016」
2016年6月4日(土)12:30-6:30pm(予定終了時間)

先着・事前予約制です。メールにてお申し込みください。

会場:DNP五反田ビル1Fホール
出演:
1) やんツー+塚田哲也 [大日本タイポ組合]
2) 小林一毅+澤田泰廣 [多摩美術大学教授]
3) Chi-Binh Trieu(スイス)
4) Gerard Unger(オランダ)
5) 村上雅士+長谷川踏太 [Wieden+Kennedy Tokyo エグゼクティブクリエイティヴディレクター]
6) Tom Hingston(イギリス)
7) Henrik Kubel(イギリス)
8) 葛西薫+森田明子 [木版画コーディネイター/芸艸堂]

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参加料:3,000円 (英語→日本語の同時通訳サービス付)
事前申込み/参加料振込制/全席自由席
*日本語→英語の通訳サービスはありませんのでご了承ください。
*登壇の順番を変更する場合があります。
*やむ得ない事情によるスピーカーの欠席または変更の可能性があります。

お申込み・お問合せ:info@tdctokyo.org
件名:「TDCDAY2016 申し込み」
氏名+所属+電話番号をご明記ください。
http://tdctokyo.org/jpn/?p=5265






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若冲画帖「玄圃瑤華」がフランスで出版されました

こんにちは。芸艸堂(うんそうどう)です。

若冲関連の記事ばかりですが、またまたご報告です。

若冲生誕300年記念展は連日1万人を超す来館者だそうです。

その人気は日本のみならず、海外でも関心が高いです。
若冲が手がけた拓版作品がフランスの美術出版社 Editions Philippe Picquier 
からフランス語版にて出版されました。
Picquier社は日本芸術・文化・文学を幅広く紹介されている出版社です。

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元となった本は弊社が江戸時代に若冲が手がけた拓版技法を用い明治期に再現した
「若冲画帖」です。
海を越え、フランスでこの本を手に取り、若冲に興味を持たれる方の一助になる出版に関わる
事ができました。
Ito Jakuchu
Les fleurs précieuses du jardin mystérieux (玄圃瑤華)


フランス版 若冲画帖



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NHK WORLD 「CORE KYOTO」に紹介されます

こんにちは 芸艸堂(うんそうどう)です。

世界配信されるNHK国際放送番組「CORE KYOTO」に
京都の木版画が紹介される事になりました。
京都の版元・絵師・彫師・摺師が登場します。その中の1軒として
芸艸堂も紹介される予定です。

NHKWORLD
CORE KYOTO 
5月5日(木)8:30~、14:30~ 21:30~ 金02:30~ 各回約30分
海外向けの番組なので、日本での放映はWEBサイトからのみ、上記の時間帯に観る事ができます。
http://www.nhk.or.jp/nhkworld/

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版木蔵の中に簡易クレーンまで組み立てて撮影されました。本編で写るかな?


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ギャラリー
  • 蘭花譜と大山崎山荘 ―大大阪時代を生きた男の情熱 展が始まります。
  • 十字屋カルチャー「芸艸堂で圧巻の版木蔵見学と、摺り師による木版摺り見学」講座のお知らせ。
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  • 長沢芦雪展が九州国立博物館で始まります。
  • 第97回 東京インターナショナルギフトショー春2024に出展します。
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